Life=Risk

なるべくお金をかけないで旅に出たり人生を楽しむ方法を模索するブログです。

人は外見が8割だが2割の方が大切なことだってある

知人に夜の街に誘われた。ほとんどアルコールを口にしない私には苦痛でしかないが、付き合いというものもあって断れない。数年ぶりの夜の飲み屋街を歩きながら観光客のように周りを見回していた。昼間とは別世界のようだ。私はそこに存在する人間が醸し出す空気と景色が混ざり合った心象的な風景を見ていたのかもしれない。

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飲み屋街の中心にバーやスナックが入った雑居ビルがある。雑居ビル前の路上に年配の男性が座り込んでいた。禿頭の男だ。ひどく酔っているように見える。どこかで見たような顔だがどうにも思い出せない。知り合いだとしてもさほど親しい人物ではないのだろう。だからと言ってこのまま放置しておくというのもどうかと考えていると、雑居ビルの階段を若い男が下りてきた。

若い男は座り込んでいる男性に近付き禿頭を平手で叩いた。パシンという乾いた音がした。知り合い同士なのだろうがずいぶん遠慮のない行為だ。年配者に対する礼儀というものがあるだろうと他人事ながら腹が立った。若い男はつばが水平のキャップ帽をかぶっていた。いわゆるストリート系ファッションだ。別にストリート系に偏見を持つわけではない。しかし、この若者がストリート系の評価を下げていることは間違いないだろう。若い男は声を掛けながらもう一度禿頭を平手で叩いた。

「親父、しっかりせんかい。」

私は親子であったかと驚き、同時にその正体に気付いた。二人が揃ったことで思い出したのだ。二人は妻の親戚が檀家になっているお寺の住職親子だった。法事の時にはなかなかいい話をするなと思っていたのだが。神妙な顔で住職の補助を務めていた若い僧侶はストリート系であったか。

私は呆れつつも息子がいるのなら心配もいるまいと歩き出した。背後でスナックの店員と思われる若い女性の声が聞こえた。振り返ると住職の息子が「はーい。」と返事をして階段を駆け上がっていくところだった。親父は路上に残されたままだ。やれやれ。私は住職をタクシーに乗せ寺の名を告げた。タクシーの運転手は私が告げるまでもなく行き先を知っていた。

「いつもこの調子なんですよね。」

高潔な人物でなくてもいい話はできるものだ。立派なお寺ときらびやかな袈裟さえあれば。

しかしー。

今度の法事は笑いをこらえるのが大変だ。厳かな顔でいい話をされても、もうコントにしか思えないから。

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