Life=Risk

なるべくお金をかけないで旅に出たり人生を楽しむ方法を模索するブログです。

ANAはなぜ彼をトップページに採用したのか?

ANAのサイトを開くと嫌でも目に飛び込んでくる。小型のロボットを手に笑みを浮かべる男の姿だ。ロボットクリエイター、高橋智隆と書き添えられている。私は、何とかクリエイターという言葉があまり好きではない。偏見かもしれないが詐欺師的な響きを感じるのだ。そう思って見ると軽薄そうな笑顔に思える。ANAのトップページを飾るような男なのだろうか?少し興味が湧いた。

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まず、ウィキペディアを見てみる。困ったときはウィキペディアだ。これをコピペすればたいていの問題は解決する。内容が正しいかどうかはよくわからないが。株式会社ロボ・ガレージ代表取締役社長、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授、etc、etc、よくわからない肩書が並び、大阪、滋賀、カナダで育つと書かれている。帰国子女なのだろうか。ますます怪しく思えてきた。

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立命館大学を卒業後、予備校を経て、京都大学工学部に再入学、2003年に個人事務所「ロボ・ガレージ」を創業、2004年に代表作であるロボット「クロイノ」が米タイム誌で「最もクールな発明」に選ばれる。「ロボ・ガレージ」は京大の学内入居ベンチャーの第一号らしい。頭のいい男なのだろう。「クロイノ」は工場で量産されたようなデザインと完成度だ。大学の設備を頼ってロボットを作り、タイム誌に載ったのかもしれない。ウィキペディアに淡々と書かれた経歴だけでは謎は深まるばかりだ。彼を知るにはインターネットに残った痕跡を辿っていくしかないのだろう。インターネットにあげられた滑らかに歩く「クロイノ」の動画を見ながらそう思った。

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時間を「ロボ・ガレージ」創業当時に戻そう。彼がどのようにして「クロイノ」を作り上げたのか。雑然とした部屋だ。高橋智隆の実家二階の六畳間である。プラスチック製のケースに無造作に工具が投げ込まれ、天井まで積み重ねられている。京大内にオフィスはある。しかし、ロボット作りによって発生するひどい悪臭と騒音のため、作業は実家で行っていた。その六畳間が高橋の寝室と工房を兼ねているのだ。朝起きると顔も洗わず作業に取り掛かる。プラスチック板をカセットコンロで熱し、型に押し付け掃除機で吸って成型する。バキュームフォームという原始的な手法だった。真夏でも換気のため窓は開けっぱなしだ。とんでもない暑さの中、パンツ一丁で作業を続けるが掃除機の方がオーバーヒートしてしまうこともあった。設計図はない。一人で作るロボットに設計図は必要ない、それが高橋の考えだった。行き当たりばったりの試行錯誤の日々が続き10か月後に「クロイノ」は完成した。

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6畳の寝室を兼ねた工房でたった一人で作り上げたロボットはその滑らかな動作で世界を驚かせた。本当にいいものは人を引きつけるのだろう。好きを仕事にするのは決して楽な選択ではないが、彼はこれからも周囲を驚かせ続けるような気がする。

日本発、世界へ。ANAのトップページは彼でいい、そう思った。