Life=Risk

なるべくお金をかけないで旅に出たり人生を楽しむ方法を模索するブログです。

本当に怖いのは…

今週のお題「ちょっとコワい話」

数年前の夏のことです。私はショッピングセンターの駐車場の端に車を止め、車内で休憩をしていました。辺りは薄暗くなっていましたが、まだ仕事の予定があったので、時間調整をしていたのです。

スマートフォンをいじっていると、コンコンと運転席の窓ガラスをノックされました。窓の外には30歳前後の女性が立っていました。全く面識のない女性です。虚ろな目をした女性で肩のあたりにタトゥーが入っているのが見えました。女性は無言のまま、窓を開けるように手で合図をしてきました。

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私は関わり合いになりたくありませんでしたが、ここで車を発進させて事故になったりしてもいけないと思い、運転席の窓を半分くらい開けました。

「私ねえ、今、病院から帰って来たんよ。」

初対面の女性にそう言われても、私には「そう。」としか返す言葉がありません。しかし女性は一向に気にする様子もなくこう続けました。

「手首切ってね、縫ってもろたんよ。」

女性の左手首には真新しい包帯が巻かれていました。冷たいようですが、そんな告白をされても私には何の関係もないことです。とにかくこの場を離れようと思い、それは大変だから早く家に帰った方がいいというような話をしたと思います。

そんな私の態度が気にいらなかったのか、徐々に彼女は興奮してきました。そして、いきなり左手の包帯をほどき始めたのです。包帯とガーゼの下には彼女の言葉通り、生々しい傷口と黒いステッチがありました。私が呆気にとられて「けっこう乱暴に縫うんだな。」などと間の抜けた感想を抱いていると、更に興奮した彼女はいきなり傷口に噛みつき、その黒いステッチを引きちぎろうとし始めたのです。

これには私も驚いて、車から降り彼女を止めようとしましたが彼女は私に向かってぶんぶんと左手を振り威嚇するような動作をしました。左手の傷口からは血が流れ始めていました。彼女が手を振るたびにアスファルトに血が飛び散ります。私も飛び散る血が気になって彼女になかなか近付くことができません。

ここに至って中年の男性がどこからともなくやって来て、彼女を抱きかかえるようにして捕まえました。後からわかったことですが、彼女を探していた親戚の男性ということでした。

男性は迷惑を掛けてすみませんと言いながら、彼女を連れて帰ろうとしましたが、去り際に私にこう言ったのです。

「この子、B型肝炎なんで気を付けてください。」

なるほど、あれは彼女なりの攻撃だったのかと私は妙に納得しつつ、同時にこうも思いました。

(その情報はもっと早く知っておきたかった…)

この一件以来、私がその駐車場に車を止めることはありません。